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GEになれなかった東芝

東芝が揺れています。不適切会計や原子力事業の損失で上場廃止・会社解体の危機に直面しています。

原子力事業の損失は、米原子力大手ウエスチングハウス(WH)との買収契約した際にWHの隠されたリスクを見抜けなかったことが主原因とされています。

東芝がWHを買収したのは、日本の電機産業の衰退が顕著になった2000年代半ばでした。電機業界の厳しい環境から脱出しようとして原発事業を選択した背景には、韓国や台湾、中国企業などアジア勢との競合が少ないため安定収益が狙えることや、次々巨額投資の判断を迫られるデジタル産業より、擦り合わせ能力に優れる日本企業向きと判断したことにあったようです。

一方、東芝と同じく重電事業を営む米ゼネラル・エレクトリック(GE)は、タービンやエンジンなどの製品販売だけでなく、他社製品を含むあらゆる産業機器のサービスを一手に引き受け、産業のデジタル化での世界覇者を目指して進撃を続けています。GEの動きについては、本コラムでも取り上げました。(2017-3-14「GEが目指す産業のデジタル化」参照)

東芝とGEという同業同士の事業運営に着目した新聞記事がありますので、以下に要点をピックアップして紹介します。

『GEになれなかった東芝』

東芝がWHを買収した同じ頃、GEは金融事業の大半を売却。製造業に軸足を置き直すものの、インターネットと重電機器をつないでサービスで稼ぐ経営を目指した。それを支えるのが製品を売った後のサービス事業だ。

情報の非対称性」という言葉がある。相手の知り得ない情報が得られる立場に身を置き、優位に立つ状態のことだ。GEはビックデータ解析でそれを実現し、顧客に対して情報の質、量で圧倒的優位に立つビジネスモデルを築いた。

情報量で優位に立てばリスクも未然に防げる。AI(人工知能)で製品や部品のくせ、寿命まで解析できれば、顧客と品質保証や保守の契約を結ぶ際に自社の負担やリスクを最小化できる。

一方、東芝がM&A(合併・買収)や受注などで交わした「契約書」は結果を焦るあまり、情報量が相手に偏った状態で見切り発車されたものが多かった。だから、隠されたリスクを見抜けなかった。

ネットはついに人と人の間の情報格差を解消したといわれるが、AIの時代は人間と機械の間に巨大な非対称をつくり出す。あるとき、情報の価値や重要性に気づいたGEはそれを使って稼ぐ仕組みを構築し、日本はそこで出遅れている。それを浮き彫りにしたのが東芝危機ではなかったか。

日本経済新聞(2017-3-15付)

今後、AIやIoTなどによる第4次産業革命が進展していく中で、ビジネスモデルの転換を図らねばならなかったり、自前主義では立ち行かなくなったりするケースも起きてくるはずです。その様な場合、上記の記事は有効なヒントの一つになると思います。

『GE変化の経営』 熊谷昭彦(著)
『東芝消滅』 今沢 真(著)

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