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MOT:『儲かるものづくり企業に変わるための経営学』

ものづくりは日本のお家芸です。日本の製造業は、20世紀の後半に主要産業として国際的な競争力を高めていきました。

前回のコラムで紹介した「三種の神器」と言われた白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫、「新・三種の神器(3C)」のカラーテレビ ・クーラー・自動車、そして一時期需要が拡大したビデオ関連機器がその典型です。

しかし近年、新しい市場・競争環境の中で、これまでとは状況が大きく変わってきました。

デジタル三種の神器」と呼ばれた、デジタルカメラ・DVDレコーダー・薄型テレビは、日本発の革新的な技術で日本企業が商品化を牽引したにもかかわらず、大きな利益を出せた企業は稀でした。

過当競争のために、価格が一挙に低下し、せっかく創り上げた価値を利益に結びつけることが出来ませんでした。液晶のシャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に買収された例が物語っています。

「デジタル三種の神器」だけでなく、近年競争環境は厳しくなり、すばらしい商品を開発してもすぐに真似をされ、過当競争に陥り、必ずしも利益に結びつかない事例が増えています。

日本企業のものづくりは、世界最高レベルですが、残念ながらそれを利益や付加価値に結びつける、いわゆる「価値づくり」が不得意です。欧米の企業に比べて全般に日本企業の利益率が低いことが、それを現わしています。

また、スティーブ・ジョブズ率いるアップル社の一連の製品展開をみてもそれを物語っています。日本で生まれた「i-mode」や「ガラケー」を踏み台にして、iPhoneを中心としたスマートフォンを誕生させました。そして今や、世界中の通信がこのスマートフォンを使って行われるようになりました。技術レベルは決して劣っていなかった日本企業が、この分野ではあっという間に存在感が薄くなってしまいました。

近年、優れたものを低コストで開発・製造すれば業績に結びつくという単純な図式ではなくなりました。

しかし、ものづくりに熱心な日本企業は、利益を度外視してでも優れた技術や商品を開発することを追求しがちです。国民性でしょうか。

「ものづくり大国日本」と言われてきただけあって、日本企業にはものづくりをうまくマネジメントできる人材は多くいます。

しかし、それを企業経営に結びつけるマネジメントが根付いていないことが大きな課題です。

そのため、MOT(マネジメント・オブ・テクノロジー)、すなわち『儲かるものづくり企業に変わるための経営学』というものが出来ています。

MOT:経済産業省の定義
技術に立脚する事業を行う企業・組織が、持続的発展のために、技術が持つ可能性を見極めて事業に結びつけ、経済的価値を創出していくマネジメント。

優れたものづくりも、それが売れて正当な利益を出せる商品や技術にならねば意味がありません。

『MOT“技術経営”入門』 延岡健太郎(著)

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