プロダクトアウトからマーケットイン・・次はアップルのスティーブ・ジョブズの、「多くの場合、人は形にして見せてもらうまで自分は何が欲しいのかわからないものだ」という考えがヒントになるようです。
プロダクトアウトからマーケットイン
「プロダクトアウト」は技術や製造設備を持つ提供側からの考えで商品開発・生産・販売など活動を行うことです。「マーケットイン」は買い手の立場に立って、買い手が必要とするものを提供していこうとすることです。
消費者の需要が満たされていないタイミングであれば、自社の技術をベースにしたプロダクトアウトの製品開発でも十分に機能しました。
第二次世界大戦後の日本の高度経済成長を支えたのもプロダクトアウトの製品開発でした。
白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の「三種の神器」、カラーテレビ ・クーラー・自動車 の「新・三種の神器(3C)」、ビデオ関連機器などはその代表でした。
その後、もっと消費者のニーズを把握して、それに合った製品を開発していかねばならない。すなわち、「プロダクトアウトからマーケットインへと発想を転換が必要」という考えが強まってきました。
インターネットを使ってアンケートを採取したり、女子高校生など各年代の人達を集めて意見を聞き商品企画のヒントにしたりと、一時期、様々な市場調査で「顧客の声を聞いた商品開発」が注目を集めました。
しかし、「様々な市場調査で消費者の意見を聞いて商品開発したけど、予想したほどは売れなかった」というのが実情でした。
「顧客の声」は万能ではありませんでした。逆に、消費者調査での多数意見に流されてしまい、自社の強みや個性が十分打ち出せなかったという弊害も見られたようでした。
顧客ニーズから提供側コンセプトへ
そこで、最近は、「プロダクトアウト」に回帰する主張が見直されてきています。「提供側からどんどん提案していくべきだ。形にして市場に問う姿勢が大事」という主張です。
この主張の背景には、アップルのスティーブ・ジョブズの「多くの場合、人は形にして見せてもらうまで自分は何が欲しいのかわからないものだ」という言葉があるようです。
消費者は必ずしも自分が欲しいものを明確に知っているわけではなく、形のある商品として提示されて初めてそれが欲しいか否かの判断をする、という主張です。
アップルの商品開発の考えを表す言葉として次の様なものがあります。
- 「新しいものは顧客から生まれない」
- 「誰も思いつかなかった世界一のアイデアや画期的な製品、ユニークなサービスの提供」
- 「製品を売るな。夢を売れ」
以上のように製品を背後で支えるストーリー、すなわち「コンセプト」を重要視しています。
『スティーブ・ジョブズ 脅威のプレゼン』 カーマイン・ガロ(著)
『スティーブ・ジョブズ 脅威のイノベーション』 カーマイン・ガロ(著)