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「日本の将来推計人口」と人手不足問題

4月10日に発表された「日本の将来推計人口」によると、50年後には2015年の1億2709万人より3割少ない8808万人になると予測されました。

日本の人口減少問題は深刻で、世界でも類を見ない高齢国家への道を歩んでいることが改めて浮き彫りとなりました。

生産年齢人口(15~64歳)は、2015年の7728万人から50年後には4529万人へと4割減る見通しです。

現在でさえ、外食、小売り、物流をはじめ、さまざまな分野で人手不足が深刻化しています。このまま労働人口の減少が続けば日本経済は深刻な事態になりかねません。

しかし、山田 久氏(日本総合研究所調査部長)は、人手不足の最大の要因は労働人口の減少ではなく『バブル崩壊後に日本で浸透してきたビジネスモデルが人手不足を引き起こしている』として、次のように説明しています。

「いいモノを安く」の限界・・・崩壊した薄利多売モデル

現下の人手不足の要因としては、人口減少、正確には労働人口の減少が指摘されることが多い。だが、見逃してはならない事実は、労働力人口は既に約20年前の1998年にピークアウトしていることである。景気循環による増減はあるものの、減少トレンドをたどっており、この点に注目すれば労働供給の減少に主因があるとは言い難い。

筆者は、過去20年間で日本の産業界に広く浸透してきた「薄利多売型」のビジネスモデルに大きな原因があると見ている。薄利多売型モデルは業績拡大が前提となるため、同じ利益を確保するのに多くの人手が必要となるからだ。

ただし、薄利多売型モデルが成功するにはマクロ経済的前提条件がある。消費人口の増加と、労働力余剰の2点である。

2010年代初めごろまでは、労働力余剰の状態が基本的に続いていたため、薄利多売型モデルは何とか生き延びた。しかし、12年末のアベノミクス開始以降、景気が穏やかながらも回復トレンドに転じたため労働力の余剰がなくなり、日本経済は人手不足局面に移行。非正規労働者の賃金が上昇して人件費削減が限界になっていることに加え、人員確保もままならず、業容拡大を支えられなくなってきた。こうして今や薄利多売型モデルを支えるマクロ経済的条件はほぼ消滅しつつある。

週刊エコノミスト(2017-4-18号)より要点を抜粋

日本生産性本部によると、2015年の日本の労働生産性は7万4315㌦(約825万円)で、主要7カ国(G7)の中で最も低いとしています。G7でトップの米国の労働生産性は、日本の1.6倍です。

この結果を見ても、日本では利幅の小さいビジネスモデル、つまり薄利多売型モデルが欧米よりも浸透していることが分かります。

生産年齢人口の減少が進む中、人手が多くかかる薄利多売型モデルから、少ない人手で十分な利益を得られる新たな高収益事業モデルへの転換が、人手不足解消には不可欠となります。

折しも加速度的に進展しつつある、第4次産業革命をベースとした抜本的な生産性の向上や技術革新によって、国や企業の成長力強化をどう図っていくかが、今後の日本経済の最大の課題となるはずです。

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