シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「ネーミングの歴史」からマーケティングについて学ぼう

ネーミング全史』(岩永嘉弘著)は、ネーミングの歴史から、楽しくマーケティングについて学べる貴重な本だと思います。

この本で、“ネーミングはブランディングだ”として、「イメージ・ブランディング」と「メッセージ・ブランディング」と大きく二つに分けて論じていることから分かるように、ネーミングの歴史はマーケティングの歴史であるとも言えます。

イメージ・ブランディングは、機能や特質やメリットを、意味で表すのではなく、イメージ的かつ記号的な言葉で作り上げます。昔付けられた工業製品のネーミングに多く見られます。

自動車では・・・「ブルーバード」「セドリック」「クラウン」「コロナ」
洗濯機では・・・「青空」「銀河」「うず潮」「琵琶湖」

懐かしいネーミングですね。昭和の香りが漂います。

メッセージ・ブランディングは、特質や機能、意義や役割を訴求する言葉で示すネーミングです。

『ネーミング全史』著者の岩永嘉弘氏は、「新宿MY CITY」や「日立洗濯機からまん棒」などの名前を生み出したネーミングの第一人者です。

著者によれば、ネーミングの歴史は1970年代、「商品名が主役に躍り出た」ところから始まったと言えるようです。そこから、ネーミングの様相が劇的に変わってコミュニケーションの主役を果たしてきました。

商品特徴をネーミングにした先駆けが、著者の考え出した「からまん棒」でした。「からまん棒」から、特徴訴求のネーミングが始まったと言えるでしょう。

このネーミングが生まれた背景を次のように述べています。

日立製作所の商品開発部の面々が熱く語った新洗濯機の自慢の開発秘話。

・・・「これまではプロペラが底で回転する方式だったが、これをなくして、回転する一本の棒を立てた。他に例がないこの革新的な方式によって、汚れ落ちが格段によくなる、シワを作らない、生地を傷めない。そして何より絡まない!この画期的な洗濯機のネーミングを作ってほしい」・・・。

そして、提案したのがこの「からまん棒」でした。新しい画期的な機能を訴えつつ、その元の主役である棒そのものに名前を付ける。そして、そのいわば部品名称を、洗濯機全体のニックネームとして打ち出しましょう。

しかし、最初のプレゼン会議では悪評紛々。なにせ、当時の洗濯機はテレビ、冷蔵庫と並んで三種の神器。高価な耐久消費財です。ネーミングといえば、「琵琶湖」「銀河」「うず潮」「青空」の時代ですから。格調とイメージが身上だった時代に「からまん棒」なんて冗談はやめてくれ、の大合唱。その後たくさんの別案のプレゼンを重ねて、最終的には最初の案「からまん棒」に決まります。

日立洗濯機「からまん棒」は、「からマンボ」というCMソングに合わせて、洗濯物が棒を囲んでマンボを踊るというテレビCMの効果もあって、わずか三ヶ月で一気にネーミング知名度が一位になり、商品も大ベストセラーになりました。これにより、商品特徴をネーミングのテーマにするネーミングの効果が証明されたのでした。

「からまん棒」の後、「最洗ターン」や「ななめドラム」「時間半分水半分」など、商品特徴をネーミングにした洗濯機が続きました。冷蔵庫も「野菜中心蔵」などという商品名が出て来たり、かつての三種の神器もおもしろいネーミングの時代になっていきました。その先陣を切ったのが、あの「からまん棒」だったと言えます。

このように本書は、誰もが知るヒット商品、話題のネーミングの生まれた背景を、「ネーミング」の歴史と共に振り返っています。楽しく読める本ですから、一読をお勧めします。

『ネーミング全史』岩永嘉弘(著)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする