シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「ビジネスモデルイノベーション」とは結局どうすることなのか?

前々回のコラムは「ビジネスモデルイノベーションの時代」という題でした。そして、前回のコラムでは、主にビジネスモデルの定義について説明しました。

今回は、ビジネスモデルを定義した後、どの様にイノベーションに結びつけていくのかについて考えてみます。今回も『ビジネスモデルナビゲーター』から要点を抜粋して説明したいと思います。

この書籍ではビジネスモデルの4軸の定義を、ビジネスモデルイノベーションの【マジック・トライアングル】として下図のように表現しています。

そして、この図の目的について次の様に解説しています。

第1に、自社の対象顧客、提供価値、バリューチェーン、収益モデルそれぞれを完全に明確にすること。
第2に、ビジネスモデルを具体化して全体像を明らかにすること。
第3に、明確化した現状のビジネスモデルを今後のイノベーションに向けた土台となる基本情報にすることである。

我々がこのピラミッド型モデルを「マジック・トライアングル」と呼んでいる理由は、三角形の頂点のひとつ(例えば収益モデル)に変更を加えると、自動的にほかの2つの頂点にも調整が必要となるからである。

【ビジネスモデルのイノベーションとは?】

ビジネスモデルのイノベーションとは、上記の4軸のうち2軸以上を刷新することです。例えば、提供価値の1軸のみを刷新した場合は、結果的に製品のイノベーションになってしまうからです。

事例として、コンピューターメーカーの【デル社】のビジネスモデルイノベーションについて説明します。

≫ デル社は、ヒューレット・パッカード社やエイサー社といった競合他社とは異なり、製品流通に流通業者を介さない。(How?)

≫ その結果として、低価格なカスタムメイド製品の提供が可能となっている。(What?)

また、顧客から直接受注することで実際の需要に関する貴重な情報を入手できるため、その情報をもとに効率的に在庫調整や調達網の管理を実施できる。(How?)

≫ さらに、基本製品に自分の好きな部品を追加して、顧客が自分専用にカスタマイズできるようにして、さらなる売上を生み出している。(Why?)

以上のように、業界の常識的なビジネスモデルと比較すると、デル社はマジック・トライアングルの3つの頂点すべてを変更し、まったく新しい価値の創造と収益化を実現するビジネスモデルを生み出しています。

モノづくりの得意な日本企業の多くは、これまで製品やサービスという提供価値の1軸のみを対象としたのイノベーションに重点を置く事業運営を行って来たと言えます。

しかし、「製品の品質やプロセスの重要性が低下したわけではないが、これからの時代において事業の成否を握る鍵ではなくなった。」というのが現実の経営環境であることを、経営者は常に意識しておかねばなりません。

事実、多くの企業経営者の間で、ビジネスモデルのイノベーションが大きな関心事となっています。以前、このコラムでもGEの例を取り上げました。(詳しくは⇒『GEが目指す産業のデジタル化』

日本においても「モノづくり」から「コトづくり」へと頻繁に言われるようになりました。この言葉もビジネスモデルの再考を促すものといえましょう。

参考: 『ビジネスモデル・ナビゲーター』オリヴァー・ガスマン他(著)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする