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サービスの「差別化戦略」:ヤマト運輸小倉社長が掲げた二つのメッセージ

ヤマト運輸の宅急便が新たな市場を形成し、巨大商品に成長するきっかけとなったのは、サービスの「差別化戦略」でした。

宅急便のようにかたちのない商品の場合、ライバルに決定的な差をつけるのに最も必要なのは、「サービスの差別化」です。

サービスの「差別化戦略」のために、小倉昌男社長は二つの重要なメッセージを掲げました。

1、外部に向けては、「翌日配達
2、社内に向けては、「サービスが先、利益は後

◆「翌日配達

荷物を送る時に消費者が最も望むのは、なによりもまず「早く」届くことです。そこで、ヤマトでは、受け取った荷物を翌日には送り先に届ける「翌日配達」をセールスポイントに掲げ、個人宅配市場を独占していた郵便小包に勝負を挑みました。

そのために、全国を網羅した集配ネットワークを構築し、どこからでも翌日配送を実現するサービスの標準化を目指しました。

それまでの郵便小包は、早くて三日目、普通は四、五日かかることも珍しくありませんでした。だから宅急便の翌日到着は、利用者に鮮やかな印象を与えたし、それが口コミにつながりました。

荷物の輸送では「確実」とか「安い」ということも大事だが、やはり早いのが一番だ。だが、ただ早いというのだけではセールスポイントにならない。具体的に「翌日着きます」と言わないと、インパクトが感じられない。・・・小倉昌男著「経営学」

「翌日着きます」すなわち「翌日配達」が最大の差別化のポイントとなりました。

◆「サービスが先、利益は後

宅急便を開始するときに、小倉社長は会議の冒頭でこう言ったといいます。
「これからは収支は議題としないで、サービスレベルだけを問題にする」

サービスが先、利益は後」という標語を全員に示し、これからはこのモットーを金科玉条として守ってほしいと宣言しました。

宅急便が赤字を脱却するためには荷物の密度が濃くならなければならないし、密度を濃くするには、サービスの差別化だけが考えられる手法だったからです。

小倉社長は「経営者の心構え」について次の様に述べています。

サービスとコストの関係のように、経営には常にトレードオフの問題がある。それに対する正しい対応を考えるのが、経営者の大きな責任であると思う。
ただし、「サービスが先、利益は後」という言葉を、社長が言わずに課長が言うと、そこの社長は「お前は利益はなくとも構わないというのか」とこっぴどく叱られるおそれがある。
「サービスが先、利益は後」というのは、社長だから言える言葉である。だからこそ、逆に社長が言わなければならない言葉なのである。  ・・・小倉昌男著「経営学」

とかく経営者は、サービスも利益もどちらも重要だと言いがちだが、そのときそのときでどちらを優先するかを判断するのが経営者に他なりません。

小倉社長時代、ヤマト運輸は種々の標語を掲げて仕事に取組み優良企業に成長していきましたが、その標語は主に優先順位を明確に示したものでした。


参考: 『経営学』 小倉昌男(著)

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