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家電市場の復活と日本のものづくり

「匠の技」を持つ中小企業が多い日本は、まさに要素技術大国といえます。狭い分野に特化して「とがった技術」を磨きながら日々成長してきました。

日本の豊富な要素技術力を、今後どのように活かしていくかが日本のものづくりの最大のテーマといえるでしょう。

その重要なヒントとなるのが、世界中で新たな市場が急速に立ち上がっている「家電」です。

かつての日本メーカーも家電分野では世界を席捲していましたが、家電は成熟分野とみなして大手企業で主力製品としているところはほとんどなくなりました。

しかし、意外に思われるかもしれませんが、いま、家電は「成長市場」なのです。

日経ビジネスでも写真のように、世界中で新たな市場が急速に立ち上がっている姿を、アルファベットで「KADEN」と表現して特集しています。

日経ビジネス(2017-10-9号)より

主役は、冷蔵庫や洗濯機のような昔からある家電製品ではありません。特定のニーズに対応した“とがった”機能とデザインを武器とする商品群。

我々の生活を便利にする家電製品がどう変わっているのか。

キーワードは、「要素技術」と「システム技術」のコンビネーションといえるようです。

いまの家電市場を牽引している企業の一つである、「紙パック不要の掃除機」の開発で有名な英家電メーカー、ダイソンの例をみてみましょう。

ダイソンは、コードレス掃除機やヘアドライヤーの新製品でアジア市場を開拓し、高成長を続けています。

成熟分野と思われている家電分野で、「AIで家電を変える」という明確なビジョンを持って組織の強化を図りながら成長していく姿は、日本のものづくり企業の今後のあり方の参考になるはずです。

日本経済新聞がダイソン創業者のジェームズ・ダイソン氏にインタビューした時の要点を以下に紹介します。


ダイソンHPより

  • 高成長のけん引役は・・・
    “ 新しい技術と新しい製品だ。回転速度の極めて速いモーターがスリムな形状のデジタル掃除機を可能にし、ヘアドライヤーの持ち手にすっぽり収まる小型の軸流タービンモーターが重量バランスやドライヤーの使い方に変革をもたらしている ”
  • 今後の研究開発で重視している分野は・・・。“ 我々が電気モーターを開発していることは、ありふれたことのように見えるかもしれない。それでもモーターの性能を大幅に改善することができれば製品は変わる。バッテリーやモーターを開発しながら、マシン・ラーニングやAI、アルゴリズムの要素を加えることで製品はとても面白くなる ”

    技術やハードウエアにAIなどが加われば、ハードはますます強力になる。重要なのはそのコンビネーションだ。ロボティクスにも大きく投資しており、英国で最大の投資家になっている ”

要素技術の進歩が新しいシステムの誕生を促し、新しいシステムの発想がそれを実現する要素技術の進歩を促すという好循環を生み出しています。

しかし、このインタビューから感じたことは、かつて日本が家電分野で技術力を誇っていた時の事業企画を見ているようでもあります。

製品の将来展開を見越して要素技術開発などに手間と金がかかっても着手していくのが日本企業の一般的な姿でした。

実は、ダイソンが成功するきっかけを作ったのは、日本での共同製品開発で日本人から丁寧なモノづくりとモノへの深い愛着を学んだことにあると言われています。

家電という成熟分野でも高成長していくダイソンの「ビジョンと進歩を促す経営の仕組み」は、自社の今後の事業展開を考える上で大いに参考になるはずです。

AIで家電変える」というダイソンの明確なビジョンは、要素技術とシステム技術を結び付け、要素技術の強さが活きるシステムを生み出しています。

これは、すなわち今後の日本のものづくり企業の進むべき道のヒントでもあります。

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