童謡や唱歌には郷愁を誘う秋の歌が多くあります。
信州の中野市は志賀高原の入口に位置し、リンゴやブドウ、キノコなどの栽培が盛んな農業を主な産業とする町ですが、『童謡と唱歌のふるさと』といわれる音楽の街でもあります。
関西に住んでいた頃、私はこの「音楽の街!信州なかの」をスキーバスで何度か通ったことがあります。その時はこの街から特別の印象を受けることはありませんでした。
しかし、信州に引っ越してきて改めて中野市から隣の飯山市にかけて散策してみた時、日本の原風景に出会ったようなどこか懐かしい雰囲気を感じました。
そんな「信州なかの」の情景が偉大な音楽家を生む背景にあったかも知れません。この街は偉大な音楽家3名を生んでいます。
古くは作詞家の高野辰之、作曲家の中山晋平。現代では作曲家の久石譲。
高野辰之、中山晋平と聞いてもピンとこないかもしれません。しかし2人から生まれた歌詞や曲を聞いたら何気なく口ずさんでしまうような名曲ばかりです。
高野辰之作詞の「故郷」「おぼろ月夜」「春の小川」「紅葉」・・・。
中山晋平作曲の「シャボン玉」「背くらべ」「東京音頭」「カチューシャの唄」・・・。
このため、「信州なかの」は『童謡と唱歌のふるさと』と称されています。
二人の生誕地は、どちらも市街地からは離れた今なお静かな山里で、生誕地近くには高野辰之記念館、中山晋平記念館があって、二人の功績を偲ぶことができます。
また、久石譲は映画「となりのトトロ」「崖の上のポニョ」やNHKドラマ「坂の上の雲」などのテーマ音楽を作曲した映画音楽の第一人者であるのみならず、コンサート活動など現在も多彩な音楽活動を展開しています。
偉大な音楽家たちが生まれ育った「信州なかの」の情景に触れれば、彼らを動かした感動を体感することができるかもしれません。